高木プライベート

介護はある日突然やってきた(その2)

祖母が転倒し腰椎圧迫骨折と診断され、その日に自宅に連れて帰ると決断してからが大変でした。

まずは自宅に帰る手段です。寝台車を4件か5件スマホで検索。ちょうど19時頃だったので断られたりなかなかつながらない状態でした。また、ケアマネの事業所に電話をしてもつながらない。

「ケアマネの事務所は看取りまでケアします」ということだったので契約しましたが・・・

こんな時何も知らない家族はどうしたらいいの?

病院の先生は治療が専門だから介護は専門外。看護師さんは寝台会社のリストはくれましたが、それ以上のアドバイスはない。ケアマネは19時でつながらない。

なんかおかしい!!

自宅に連れて帰りこの日から、寝たきり祖母の介護がスタート。

祖母は痛みが酷いことやおむつで用を足すことが無かったので、水分も食事もとりたがらない状態でした

素人がオムツ交換をするのは本当に大変でした。

しかし、一番大変なのは祖母当事者ですよね。

翌日、ケアマネと連絡が取れた時言われたことは「なんで入院しなかったのですか?」「ヘルパーの手配できていないのに」という対応。

ここでも なんかおかしい!!と感じたので、地域包括に相談し居宅サービス(ケアマネ)の契約を変えました。2000年からスタートした介護保険は「契約制度」です。自立と尊厳が介護保険の基本ですから、考えの相違等があれば契約を解除できるのです。これも初任者研修の際に勉強していました。

自宅近くの病院に通っていましたが訪問医師に変え、治療=安静を1か月したころ主治医の先生から「このまま身体を動かさないと、身体が硬直します」と言われ、ケアマネに相談。リハビリをお願いしましたが、月に2回しか来てもらいなかったのです。

「え~ 月に2回のリハビリで改善できるわけない」ここでもまた、なんかおかしい!!と思いました。

そこで、訪問医師に聞きながら「ベッド上で出来る運動を私が考案し、母に教えて母が祖母に指導しました」

最初は硬直も少しあり痛みもありましたが、短時間・毎日継続しました。

その結果、なんと4カ月でベッドサイドのポータブルトイレを使用し自分で用を足せるまでに回復しました。

母も私もびっくりしました。その時に今まで感じていた なんかおかしい!!を解決できるのでは?という気持ちがわいてきました。

では、何故リハビリの専門職でない私が家族と協力して、94歳の腰椎圧迫骨折で寝たきり状態から4カ月でトイレの自立が出来たのか?

私は管理栄養士と運動指導者として30年以上、予防医学の領域で仕事をしてきました。

管理栄養士は生活習慣病の改善の食事の指導や運動のアドバイスをします。主に改善を目的にした仕事です。

この経験から「介護の負のサイクル」を解決しないと、高齢者本人・家族・介護職員の疲弊の改善は出来ない。さらに、日本の社会保険料の財政悪化は歯止めが利かない状態で、今の子ども達に負担を強いることになります。これもおかしい!!

そこから色々調べましたが、祖母のように自宅で最後まで暮らしたという希望に沿って、自宅で暮らすには

日常生活動作(ADL)の改善ができないと、家族はじめ負担が多くなる。介護職員も不足している現実をみると、自立=「自宅で・自分でできる運動を構築して、広めてあげないいけない」という使命感がわいてきました。

祖母も母も本当に毎日頑張りました。私も仕事に子育てをしながら手伝い、そして私の子ども当時、高校1年の息子と小学校6年の娘も曽祖母の手伝いをいていました。

3年後。97歳の年自宅で看取ることが出来ました。

亡くなる前日に私は「様子がおかしいのでそろそろお迎えが来てもおかしくない」と感じ、夕食後祖母を囲み

みんなでお茶を飲みました。祖母は話をすることはしませんでしたが、ひとり一人の目を見て微笑んでいました。翌朝、寝ているかのように亡くなりました。

これらの経験をさせて頂き、適切な運動=刺激があれば年齢に関係なく身体は改善できること。また、家族や自分が行う運動は医療行為ではなく、介護保険法第4条にもある「国民の努力及び義務」だからできるようにサポートさえしたら、最後まで自宅で暮らせることは可能であることを確信しました。

トイレだけでも自分で行きたいときに行けることで、本人はもちろん家族も買い物に行くこと、仕事に行くこともできます。

私はこの体験と管理栄養士・運動指導者としての実績をもとに、自分で出来る運動で介護状態の改善が可能であることを仕組み化していく覚悟を決め、2018年に株式会社AccoFitを立ち上げました。

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